研究概要 |
本研究は,児童の生涯にわたる健康管理の基礎作りを目指して,生活科,社会科,保健体育科,家庭科などの教科学習のねらいと有機的に連携する「食に関する指導」を加味した学習内容を検討し,各教科および「食に関する指導」の評価の観点に準じた授業案や年間プログラムを立案,実施,評価し,普及することを目的とする.それには,教科担当の教諭と栄養教諭の相互理解を深め0検討することが欠かせない.21年度は,各教諭の「食に関する指導」の理解を深め、学校全体として「食に関する指導」に取り組み,各学年別に連携する教科学習単元を決定,検討し,授業実践し,以下の研究成果を得た。 1. 小学2年生活科単元"野菜を育てよう"では、1学期の夏野菜栽培活動-苗植,水やり、草抜きを経て、収穫した野菜に愛着をもち、残さずしっかり食べようとする態度を育み、家族への伝達学習へと発展した。2学期には、土中で育つじゃがいもの生長から、食べる楽しみへと応用した。 2. 小学4年社会科単元"私たちのくらし"では、日々の営みとごみ問題の学習から、自主的に給食残飯減量大作戦による異学年交流学習へとつなぎ、夏季の全校残飯減量を達成した。 3. 小学6年体育科保健領域単元"生活習慣病"において、不健康な生活習慣のセルフチェック、目標設定、セルフモニタリングと行動科学的なアプローチから生活習慣改善を図った。 各学年においては、学習に用いたワークシートから学習のプロセス評価、短期結果評価、加えて教諭、栄養教諭による授業評価を得、教科学習と連携する「食に関する指導」の有効性を評価した。連携により児童の食への関心を高め、食行動の改善を果たすという学習成果を得たものの、授業時間の確保、教諭問の相互理解の不足などの課題を残した。これより、「食に関する指導」の学校全体としての取組への認識と授業力を高める教諭対象の研修システムの必要性を確認した。
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