本研究は、健康管理およびヘルスプロモーションを目的として、就寝時の熟睡度(睡眠の質の高さ)を把握するため、睡眠中の心肺機能とともに身体の動きや寝返り等による体動を自動でかつ長時間計測する熟睡度モニタの開発を目指している。本法は、導電性を有する布状電極(布帛電極)をベッド等のシーツとして用い、自然な眠りの状態における心電図や呼吸曲線の計測を行うと同時に、安眠の程度を睡眠中の寝返りや身体の動き(体動率)から定量化するものである。平成22年度は、昨年度に得られた知見をもとに「システムの開発と評価」及び「試作システムによる長時間測定」を目標として研究計画を遂行した。その具体的な成果としては以下の3点である。(1)睡眠中の計測は長時間に及ぶため、蓄積データも多大となる。適切な測定対象を選択することが重要となるが、今回は心拍・呼吸数や体動率等を算出するシステムの開発を行い、その自動化について検討した。(2)本法による体動率の検出精度を確認するために、身体活動量の計測のために汎用されている加速度計を利用し、本法の体動率検出の妥当性について検討した。(3)試作システムを使用した長時間にわたる体動率のデータ収集の実現性をはかる初段階として、学生ボランティアによる体動率のデータ収集を行った。以上の成果に基づき、次年度は本研究計画の最終ステージとして「開発システムの実用化と評価」に重点をおいて、熟睡度自動計測システムの完成を目指す。
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