女子の部位別骨密度の低下率とその原因、また加齢による姿勢の変化の具体的基礎資料を作成することを目的に、閉経後の女性及び女子大学生を対象に測定し、その結果を分析した。 閉経後の女性46歳~91歳の117名、女子学生は40名であった。平成23年度は女子学生の測定とともに、スパイナルマウスによる脊柱のアライメントを立位時、前屈、後屈時の脊柱の椎骨の角度とその可動性について測定し、骨密度、動的バランス能力、足部の歪み等との関係を検討した。部位別骨密度はどの部位でも年齢との相関が高く、脊柱アライメントも年齢と腰椎前彎角は負の、仙骨傾斜角は正の有意な相関が認められたが、骨密度との相関は認められなかった。中高年と若年とのアライメントの比較では胸椎後彎角は中高年が、仙骨傾斜角、腰椎前彎角は若年層が、可動域は若年層がそれぞれ優位に高い値を示した。中高年では円背傾向となり、腰椎の前湾が少なくなり、腰も丸みを帯びてくる傾向を示している。加齢による胸椎後彎角度が高くなり、左右バランスの安定性が有意に低下し、腰椎の前彎角の変化は前後バランスの安定性を有意に低下させている。また脚の除脂肪体重の加齢による減少が左右バランスの低下に影響している。しかし70歳代、80歳代でも脊柱アライメントも可動域も若年者と変わらない場合もみられ、若い時代及び現在までの継続性のある運動習慣との関連が見られた。ますます高齢化が進むわが国において、骨折や姿勢の歪みが高齢者の健康生活をおびやかす。資料を生かした啓蒙活動をおこないたい。
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