研究概要 |
【目的】運動負荷前に異なるたんぱく質を摂取することがレジスタンス運動回復期の主観的・客観的疲労に及ぼす影響を検証すること。 【方法】日常的に運動習慣のない健康な男子大学生7名を対象に,一過性にレジスタンス運動を実施し,運動実施1時間前に大豆および卵白たんぱく質をミネラル水200mlで摂取するとともに,水もに摂取した非摂取群を対照群と設定した。実験当日はフライ,レッグプレス,ラットプルダウン,レッグエクステンションの4種類のレジスタンス運動をそれぞれ10RM強度で実施した。疲労の指標には主観的疲労感としてPOMS疲労得点を,客観的疲労指標として心拍変動や血中乳酸濃度,コルチゾール濃度を測定した。実験前の食生活の影響を考慮し,対象者には実験当日までの1週間に亘って一日2200kcalの規定食を提供した。また,実験当日は朝8時までに朝食をとり,午前10時に試験食(大豆および卵白サプリメント粉末)をミネラル水と一緒に提供した。その後,準備運動後に午前11時からレジスタンス運動を負荷した。採血は準備運動前とレジスタンス運動終了直後,運動回復30分後の計3回実施した。 【結果】血中乳酸濃度は運動負荷前に比べて負荷直後で有意に上昇し,回復30分後には有意に改善が見られた。運動負荷前後の時間経過に対する摂取たんぱく質の違いによる影響は認められなかった。血中コルチゾール濃度は非摂取群において時間変動が大きく,運動前に比べて運動直後,回復30分後がともに有意な高値を示した。一方,大豆群では運動前に比べて運動直後に有意に上昇したものの,回復30分後は運動前値との間に有意な差は見られなかった。さらに,卵白摂取群ではこのような運動回復期の時間の違いによる有意な差はみられなかった。疲労指標として測定したPOMSの疲労得点は時間による有意な差が見られたものの,摂取たんぱく質の違いは見られなかった。現在,自律神経活動の変化について解析中である。
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