若手医師が安全で事故のない外科手術が行えるよう教育することを目的に本研究を開始した。手術は術者と助手の共同作業で行われるため、各々の役割をいかに具体的に記録・提示できるかが課題となる。 【成果1】高画質マルチアングル撮影システムの構築 術者と第一助手の各手術手技を双方向から同時にビデオ撮影できるマルチアングル法に加えて腹腔鏡カメラを用いた腹腔内撮影を追加構築した。新たな経費を要することなく、臓器に近接して手技を撮影できた。従来の撮影方法では術者の頭により術野をさえぎったりする問題点があったが本システムにより一層改善された。 【成果2】同時再生技術の開発と検証 外科手術の教育に際してハイビジョン画像をSD画質にダウンコンバートして用いた。画質は従来のアナログテレビ画質であるが術者と第一助手の役割を把握するには十分な画像であることが確認できた。体外から撮影困難場所は適宜カメラ位置を変更したり腹腔鏡カメラを使用することで対応できた。 【成果3】定型的手術の撮影 日本外科学会専門医修練カリキュラム、日本消化器外科学会消化器外科専門医修練カリキュラム、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医カリキュラムに指定された手術を撮影した。学会発表や教育に使用できるよう簡潔に編集した。一部は日本外科学会ライブラリー、日本肝胆膵外科学会ホームページに収載された。 【成果4】手術手技の教育 出血量が少なく安全な手術が実施できるようビデオを用いて学内研修医教育が行われ、上記専門医受験に対応した。研究成果は日本臨床外科学会、日本肝胆膵外科学会などで報告した。
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