研究概要 |
本研究の目的は、受動喫煙のストレス評価を唾液中カテコールアミン代謝物等で行い、受動喫煙の健康影響を客観的データとして表し、受動喫煙防止の教育を含めた取組をさらに積極的に推進することである! 測定代謝物は、ドパミンの代謝産物である3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)と最終代謝産物のホモバニリン酸(HVA)及びノルアドレナリンの代謝産物であるバニリルマンデル酸(VMA)と3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG)の4種類である。 今年度は、唾液中カテコールアミン代謝物測定の確立を目標に研究を進めた。測定は高速液体クロマトグラフィーの3カラムスイッチングシステムを用い、その分析条件を検討した。その結果、使用する3種類のカラム、移動相組成、移動相の流速や検出蛍光波長を決定した。 このシステムでは、唾液の前処理、濃縮、分析が一連の流れの中で行える利点があり、前処理カラムを使用することにより、タンパク質等の夾雑物は5分以内に除去され、5.5分以後に4種の目的物質が検出された。保持時間はVMA,DOPAC,MHPG,HVAの順番でそれぞれの物質のピークが現れ、約40分間で測定が終了した。さらに、唾液に4種類の標準物質を添加した添加回収試験も良好な結果であった。 従って、今回の測定システムで4種類の唾液中カテコールアミン代謝物等の測定が可能であったので、次年度以後、これらの物質のサーカデアンリズム等の検討を行い、唾液のサンプリング等のタイミングを含めた測定系の確立とストレス負荷時のカテコールアミン代謝物等の挙動の研究を進める。
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