研究課題/領域番号 |
21500663
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00224791)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
平田 幸代 日本医科大学, 医学部, 助教 (40322515)
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キーワード | 受動喫煙 / ストレス評価 / 唾液 / カテコールアミン代謝物 / HPLC定量分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、受動喫煙のストレス評価を唾液中カテコールアミン代謝物等で行い、受動喫煙の健康影響を客観的データとして表し、受動喫煙防止の教育を含めた取組をさらに積極的に推進することである。 測定代謝物は、ドパミンの代謝産物である3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)と最終代謝産物のホモバニリン酸(HVA)及びノルアドレナリンの代謝産物であるバニリルマンデル酸(VMA)と3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG)の4種類である。また、唾液中クロモグラニンAの測定も試みた。さらにストレス評価法において、よく研究されているコルチゾールの挙動もみた。コルチゾールは視床下部-下垂体-副腎(HPA系)に関わるステロイドホルモンである。 今回は昨年に引き続き、サーカデアンリズムを見るために協力者を募集し、非喫煙者19名(男性6名、女性13名)、喫煙者6名(男性のみ)の被験者を募集できた。 喫煙者に対しては、唾液採取当日より前の1~3日間の禁煙及び禁煙期間中の朝夜の唾液採取、唾液採取当日経時的な唾液採取及びたばこ1本の喫煙後の唾液採取を行い喫煙の影響をみた。経時的な唾液採取は、午前中6回、午後3回の計9回の唾液採取を行った。唾液採取は唾液吸収体(サリソフト[○!R])を一定時間口腔内に入れ、それに吸収させ採取し、遠心分離後に試料唾液とした。 喫煙者のコルチゾールは、喫煙直後には喫煙前に比べて低値を示した。クロモグラニンAは唾液採取方法の違いにより、その値に違いが見られ再検討が必要であった。ドパミン代謝物の測定は現在測定中である。また、非喫煙者への受動喫煙調査で1週間当たりのばく露:日数と受動喫煙の嫌悪感についての関係は、受動喫煙がほぼ毎日ある非喫煙者の嫌悪感は、週に1、2回程度の受動喫煙がある非喫煙者に比べて小さく、受動喫煙への抵抗感があまりないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、非喫煙者の唾液中測定物質のサーカデアンリズムをみるための想定人数の協力者数が得られた。ドパミンの代謝産物等の測定は、機器の不具合等で測定が遅れているが、コルチゾールは今後の実験をする上での結果が得られた。クロモグラニンAは唾液採取方法の違いによる測定値の変動がみられたため、それを解決する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
ドパミンなどの脳内報酬系の物質の変動から受動喫煙の影響をみるために、喫煙者、非喫煙者で受動喫煙がある者及び受動喫煙がない者に軽いストレス負荷をかけて、その時の経時的な変動から受動喫煙の影響を洞察する。 さらに受動喫煙の嫌悪感等のアンケート調査等と対応させて、受動喫煙の精神的、身体的な急性影響を評価する。
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