研究概要 |
「精神的ストレス下」および「抑うつ状態」と「メタボリックシンドローム」に共通する生物学的指標を同定し、心身相関のメカニズムを解明し、うつ病の遷延化および生活習慣病を予防することを目的に、病院および介護福祉施設勤務者180名を対象に横断的研究を行った。 対象者の属性および心理的特性把握には自記式質問票(抑うつにはthe Center for Epidemiologic Studies-Depression scale(CES-D)、自覚的ストレスにはVisual Analogue Scale(VAS))を用いた。また、対象者から採血をし、インスリン濃度、総コレステロール濃度、HDLコレステロール濃度、LDLコレステロール濃度、各脂肪酸分画濃度、過酸化脂質濃度、insulin-like growth actor binding protein-1、Plasminogen activator inhibitor type(PAI)-1濃度、PAI-2濃度、Serotonin transporter gene-linked polymorphic region(5-HTTLPR)多型、fatty acid binding protein 2, intestinal(FABP2)多型、Fatty acid synthase(FASN)多型を測定した。 抑うつ度は、血中の過酸化脂質濃度、インスリン濃度、およびω-3脂肪酸を除く脂肪酸濃度と正の相関を示した。また、同等のストレス下では、5-HTTLPR多型SSがLS,LLに対して、FASN多型GGがGA,AAに対して、高い抑うつ感を示した。 メタボリックシンドロームと関連する生物学的指標と、うつ状態になりやすい特性を示す生物学的指標で共通する候補が発見され、社会問題である両障害の予防へのヒントが示された。
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