研究課題/領域番号 |
21500669
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
松本 珠希 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (90248047)
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研究分担者 |
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (90175638)
林 達也 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 准教授 (00314211)
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キーワード | 月経前症候群 / 自律神経活動 / 心拍変動 / パワースペクトル解析 / 心筋電気的安定性 / 植物芳香成分 |
研究概要 |
近年、ストレス解消や癒しのために様々な試みがなされているが、「心と体をバランスよく癒す」というHolistic Careのひとつとしてアロマセラピーが注目され、特に女性の間で人気を博している。本研究では、「癒しの香り」として用いられる植物芳香成分が月経前症候群(PMS)の改善をもたらすのか、その背景には生命神経系と称され、心身相関の指標ともなる自律神経機能の改善が存在するのかを心拍のゆらぎ現象から検討している。 平成21年度に得られた成果は下記の通りである。本年度は、PMSを自覚しているが、QOLの低下を伴わない軽度な月経前心身不調を有する女性14名を研究対象とした。測定は、卵胞期と黄体期に各2回(芳香有・無)、計4回行った。芳香成分はラベンダー(10μl)とし、鼻下30cm離した芳香拡散器から放出される香りを5分間嗅いでもらった。芳香刺激前後に、心電図を5分間測定し、心拍変動パワースペクトル解析により自律神経活動を評価した。併せて、POMS感情プロフィール検査により、香りの心理的効果も測定した。 卵胞期及び黄体期における香りの感受性(強度・好み・快適性・親しみ感)を比較したところ、月経周期間の変動は認められなかった。芳香の生理的効果に関しては、両周期において、芳香刺激後、副交感神経活動指標が増加したが、現時点では、卵胞期において統計的有意性が認められている。心理的効果に関しては、月経周期に関わらず、負の感情因子のスコアが減少し、中でも、卵胞期では4因子(抑鬱・怒り・疲労・混乱)に、黄体期では1因子(疲労)に有意な低下が認められている。 PMSは生物学的・心理学的・社会的要因が複雑に絡みあって発症する多因子性症候群である。今年度の研究結果を基に、PMSの重症度と発症形態が異なる女性を対象として更なるデータ収集を重ね、自律神経活動を機軸とし、各種芳香刺激に対する有効性と抵抗性も観察しながら、植物芳香成分のPMS軽減効果を詳細に検討したいと考える。
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