月経前症候群(PMS)は、月経前3~10日の間続く身体・精神神経症状の集積で、種類や程度、継続する期間を問わなければ、性成熟期女性の半数以上が自覚しているといわれている。本研究では、Holistic Careのひとつとして注目され、特に女性の間で人気を博している植物芳香療法(アロマセラピー)によるPMS軽減効果を、心身相関の指標ともなり、自律神経機能を反映する心拍ゆらぎ現象から評価することを試みた。芳香刺激として、癒しの精油の代表格でもあるラベンダーと日本人になじみの深い柑橘系和精油ユズを用いた。その結果、これら2種の精油を用いて、月経前に、僅か10分間の芳香療法を行うことにより、心拍数と交感神経活動の減少、副交感神経活動の増加、併せて、気分・感情状態の顕著な改善が認められ、特に芳香療法による心理的側面の効能は、ラベンダーとユズにおいて同等であることが認められた。
|