研究課題/領域番号 |
21500676
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
石橋 恭之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80292142)
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研究分担者 |
津田 英一 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (00361014)
中路 重之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10192220)
山本 祐司 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (10529671)
梅田 孝 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50311535)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地域住民健診 / 膝前十字靭帯損傷 / 変形性膝関節症 / 血清ヒアルロン酸濃度 / 予防医学 / ロコモティブシンドローム |
研究概要 |
1. 変形性膝関節症の疫学調査 岩木健康増進プロジェクト健診では、平成19年度から変形性膝関節症(膝OA)の調査を施行している。これまでの研究で“高齢”、“女性”、“肥満”が膝OAの危険因子として検出されている。“膝痛”の存在も膝OA進行に寄与する因子であるが、ロコモティブシンドロームの最も強い関連因子(オッズ比2.7倍)となっていることも明らかとなった。介護保険利用者数の増加を抑制するためには膝OAの進行予防と膝痛の管理が重要となると考えられる。当科では膝OAの早期診断、進行予測マーカーとしての血清ヒアルロン酸濃度に注目し疫学調査を行っている。2年間の追跡調査で381名の膝関節レントゲン写真を評価し、関節裂隙狭小化を予測しうる可能性が示された。平成25年6月に5年目の追跡調査を行い、緩徐に進行する膝OAの変化とOA進行予測因子としての血清ヒアルロン酸濃度の関連を検証する予定である。 2. 膝前十字靱帯(ACL)損傷の疫学調査:着地動作中の動的下肢アライメントの変化 調査開始年度に小学5年生であった児童のうち中学3年生まで5年間の追跡調査が可能であった児童は54名(男子25名、女子29名)であった。ジャンプ着地動作における下肢外反アライメントは女子において学年が進むにつれて有意に増大する傾向にある一方で、男子では小学5年から中学3年までで有意な変化を示さなかった。ACL損傷は思春期を境に女子で増加することが報告されているが、その原因は明らかでない。本調査結果より、女子児童は思春期の成長過程においてジャンプ着地動作中の下肢外反アライメントが増加することが明らかとなり、ACL損傷発生率の男女差が思春期以降に生じる一因であると考えられた。今後も調査を継続することで、対象者数を増やしエビデンスを構築していくこと必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 形性膝関節症の疫学調査 横断調査から縦断調査にかけて、膝OAの進行とそれに関する因子の検討を行い、進行予測因子の確立をめざし、平成25年度の調査準備を進めている。また。内科や他科との連携をしつつ各種解析を継続し、これまでに得られたデータをもとに健康実践教室での運動教室を通して介入調査を行っている最中である。短期間での評価になるが、集団運動教室がもたらす効果を検証する予定である。 2. 膝前十字靱帯(ACL)損傷の疫学調査:着地動作中の動的下肢アライメントの変化 思春期男女における着地動作中の動的下肢アライメントの変化を縦断的に評価している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 形性膝関節症の疫学調査 今後も本プロジェクト検診を継続することにより一般住民における膝OAの自然史を長期的に観察し、そこから膝OAの進行に影響を与える因子の検討を行う。同時に初年度調査において測定した血清ヒアルロン酸濃度が膝OAの進行を予測しうるかを統計学的に解析する。また、本プロジェクト検診から得られる結果を、現在行っている運動実践教室に反映させ、どのような運動介入の方法がより効果的に膝OAやロコモティブシンドロームの予防につながるかを検証する予定である。 2. 膝前十字靱帯(ACL)損傷の疫学調査:着地動作中の動的下肢アライメントの変化 今後も縦断調査を継続し、動的下肢アライメントの変化における男女差に影響を及ぼす因子の検討を行う。また、ACL損傷は思春期以降に増加することが報告されており、ACL損傷予防の観点から、下肢外反アライメントを呈する生徒に対する適切な指導や介入の方法について検討する予定である。
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