研究課題
平成21年度においては、1)若年男性のインスリン抵抗性の増加がBMIのどのレベルから発現するか2)実践可能な運動およびカロリー制限処方、の検討を課題とした。1)10代後半から20代前半の肥満男性(BMI28kg/m^2以上)においては、HOMA-IRによるインスリン抵抗性の増加がほぼ全員にみられた。彼らは血糖値の上昇に対して、インスリン分泌を増やし血糖上昇を抑制しているわけであるが、高度肥満になるとともに、その抑制効果が低下してくることを明らかにした。(T.Koike et al.Obesity Research&Clinical Practice2009)。一方、正常体重の若年男性(BMI 20-22kg/m^2)においては、HOMA-IRは正常であったが、75gぶどう糖負荷試験では、早期の過剰なインスリンの分泌が見られるものがおり、運動・食事介入によりHOMA-IRが低下し、負荷試験でのインスリン分泌が低下した。このことは、正常体重の若年男性においてもインスリン抵抗性がすでに生じていることを意味している。インスリン抵抗性に影響する可能性のある慢性炎症の指標や、アディポサイトカインについても、個体差が大きくみられた。2)介入処方の検討を行なうために、正常体重の若年男性で、中等度強度の有酸素運動(最大酸素摂取量の60%の強度)とレジスタンス運動に加え、カロリー制限(基礎代謝に基づき計算したカロリー摂取の最大20%減)を30日間行なった。この介入により、1ヶ月で2-5kgの体重減少がおこった。この低下は、主に脂肪の減量であり、筋量や骨量への変化は、最小限と考えられた。また、最大酸素摂取量より評価される持久力も維持された。代謝的には、インスリン抵抗性の改善、慢性炎症指標の低下、基礎代謝の著明な低下が観察された。したがって、1ヶ月の介入としては、望ましい効果が得られたと考えた。正常体重で健康である若年男性においても、本プロトコールに従った生活変化により得られる効果は非常に大きいことがわかった。一方、今回の介入と同じことを、肥満者で行なうことは、特に運動の実施において困難と予想される。肥満者の生活状況にあわせたプロトコールをさらに検討し、肥満者での介入を平成22-23年度に行なう予定である。
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