低出生体重児が成人後の肥満や糖尿病のハイリスク群であるというDOHaD (Developmental Origin of Health and Disease)といわれる考え方が認められつつある。今回、日本人の健康診断受診者501名を対象とし、母子手帳で確認した生下時体重と成人後のBMI、空腹時血糖値との関連について検討した。【結果】生下時体重と現在のBMIの関連を、検討すると生下時体重が2800-3000gの群で成人後のBMIは最低値を示した。生下時体重と現在のBMIは、生下時体重2800g-3000gを頂点にしたU字型を呈し、生下時体重と成人後のBMIについて単回帰分析を行ったところ2800g未満の者と成人後のBMIでは有意の負の相関が見られた。以上より低出生体重が肥満のリスクであることが明らかになった。次に生下時体重と空腹時血糖との関係を検討すると、生下時体重が2400g未満では、空腹時血糖が正常高値(100mg/dl)以上を呈する割合が33%と高値を示した。また出生児体重が低値で、現在肥満である群で100mg/dl以上の頻度が高く、小さく生んで大きく育てるのは代謝の観点ではよくないことが示唆された。さらに母親の妊娠中の体重増加と成人後のBMIでの検討では、母親の体重増加が10kg未満の者と成人後のBMIとは有意の負の相関が認められた。以上の事実は低出生体重児の大きな原因である若い女性の過度の痩せすぎを予防することが、将来の肥満や糖尿病対策に重要であることを示している。
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