昨年までの結果で高圧処置による高度肥満、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの脂質代謝改善以外の糖代謝への関与について有意な変化は認めなかった。また、長期的な高圧処置でも脂質代謝以外の効果は認めなかった。そのため軽度肥満、糖代謝異常モデルの(OLETFラット、SDラットに高脂肪食負荷)での高圧療法における糖脂質代謝関連解析をおこなったが、明らかな糖代謝に影響は及ぼさなかった。また、高圧負荷とインスリン抵抗性改善薬(チアゾリジンなど)、高血圧薬(アンギオテンシンIIレセプター阻害薬など)との併用、高圧負荷のvoluntary運動好性or compulsory endurance運動における耐性などの解析として糖尿病モデルマウスなどを使って糖脂質関連の解析をおこなったが明らかな相乗、相加効果は認めず、高圧条件の検討をおこなうと同時に、ターゲット遺伝子を見つけて将来的な新規治療薬の手掛かりとするために組織における変化を分子遺伝学的解析法での検討を継続している。 一方、高圧負荷で変化するタンパクの検索のためのDNA microarrayの結果から高圧負荷でドラマティックに変化している遺伝子群に関して蛋白の発現変化の確認を、前年度より継続して現在1つ1つおこなっており、現在候補遺伝子が見つかってきており、候補遺伝子の糖脂質代謝における意義を分子生物学的機能解析(ウイルスベクターによる遺伝子操作も含めて)での培養細胞や糖尿病モデルマウスでの解析を継続している。さらに候補遺伝子の中からノックアウトマウスの作成も開始している。
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