研究概要 |
本研究では,平成21年度の実験結果,すなわち運動直後の血圧低下(運動後低血圧:PEH)には運動に伴う下肢血液貯留や血漿量低下が直接的には関与していないことを踏まえて,平成22年度からは,PEHの効果の持続と定着に関する実験を開始した。 平成22年度の前期では,PEHの効果の持続と定着について明らかにするために,10日連続の持久性運動トレーニングを行い,PEHの変化と運動前の安静時血圧の変化を10日間連続して観察した。7名の被験者は,脚自転車運動(40%peakVO_2,60min,60rpm)を1日1回,10日間連続して行った。10日間のトレーニング期間中,運動前後に仰臥位安静にて,60分間(10分間隔),血圧を測定した。10.8であった。トレーニング第1日目(day1)の運動前後の各被験者のMAPの平均値は,運動前81.6±9.6vs運動後の最低値76.7±9.1であった。同様に,day2:76.9±95vs75.34±8.9,day3:80.6±7.9vs78.9±7.6,day4:80.9±9.6vs80.5±7.7,day5:80.9士8.6vs80.2±7.5,day6:82.7±6.9vs80.2±6.7,day7:80.2±6.9vs79.5±7.8,day8:81.9±9.2vs79.8±8.6,day9:80.6±8.6vs79.0±9.0,day10:81.1±7.6vs79.7±7,1であった。結果として,10日間の短期持久性トレーニングにおいては,PEHの持続的な低下や,翌日の安静血圧の低下は認められなかった。 さらに,年度後期には,夕方に実施した60分間の脚自転車運動(40%peakVO_2,60min, 60rpm)が,その後24時間の血圧に及ぼす影響についての実験を開始した。睡眠中の平均血圧の最低値は運動を実施した日に低くなる傾向があったが,統計的には有意ではなかった。また翌朝の血圧の値にも,有意差は認められなかった。この検討は,23年度に,継続して行う予定である。
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