研究課題
1. SHRにおける高血圧発症が大動脈での酸化傷害および抗酸化系に及ぼす影響と、自発走トレーニングの効果本年は、自然発症高血圧ラット(SHR)の大動脈の酸化傷害および抗酸化系に及ぼす自発走トレーニングの効果を検討した。酸化傷害マーカーとしての4-ヒドロキシノネナールと3-ニトロチロシンのレベルは、高血圧発症時の15週齢に比較して、25週齢の非運動群では何れも増加していたが、15週齢から25週齢までの運動群においては非運動群より有意に低かった。また、Mn-スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のタンパク質量は25週齢の運動群において非運動群より有意に高かった。以上の結果より、SHRの大動脈において、高血圧の10週間の持続が酸化傷害を上昇させるが、自発走トレーニングはその傷害を抑制し、その一部はMn-SODの上昇による事が明らかになった。2. SHRの高血圧発症に伴い生じる新規ニトロ化マーカーの検討新規のニトロ化マーカーとして、我々は6-ニトロトリプトファン(6NO_2Trp)生成を発見し、その検出法の確立を進めてきている。その一環として、我々が独自に開発した抗6NO_2Trp抗体を用いたプロテオミクス法で生体試料における6NO_2Trp含有タンパク質の同定に成功した。今年度は、SHRに本手法を応用する前段階として、アトピー性皮膚炎モデル(NC/Ngaマウス)を用いて、酸化傷害が知られているアトピー発症後の皮膚における6NO_2Trpの生成を検討した。その結果、carbonic anhydraseを始め幾つかの特定トリプトファン残基が6NO_2Trpへと修飾されたタンパク質を同定した。これらは現在投稿準備中である。これらの結果を踏まえ現在、ラットの海馬における6NO_2Trp含有タンパク質の同定を始めとした、酸化およびニトロ化タンパク質の生成及び抗酸化酵素量の加齢変化を測定中である。今後SHRを用いて運動効果を加味した実験を行い、我々の見出した新規ニトロ化マーカーを中心とした解析を進める予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
Free Radic Biol Med
巻: 50 ページ: 419-427
Clinical and Experimental Hypertension
巻: 37 ページ: 407-415
Biochim Biophys Acta
巻: 1804 ページ: 1775-1779
Biochim Biophys.Acta-Protein and Proteomix
巻: 1804(Review) ページ: 318-325