研究課題/領域番号 |
21500696
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (00318817)
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研究分担者 |
中村 好男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00198251)
柴田 愛 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (30454119)
石井 香織 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 研究助手 (10548697)
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キーワード | 介護予防 / 経済的評価 / 運動プログラム / 医療費 / 介護費用 |
研究概要 |
本年度は、平成19~21年度に実施した介護予防運動プログラムの費用便益分析を行った。対象者は、膝痛・腰痛高齢者の痛みの緩和および生活機能の改善を目的として実施した水中運動プログラムの参加者126名であった。費用は、事業費(啓発のための講演会費、施設利用費を含む事業委託費、送迎経費など)および人件費(事業従事者の延べ人数(回)、従事者の時給(円/時間)、教室1回当たりの平均所要時間(時間/回)、報酬単価(円/回))から推定した。便益は、仮想評価法を用いた支払意思額(個々の参加者が運動プログラムへ参加するために支払ってもよいと考える金額)を指標として用いた。水中運動プログラムに対する参加者の支払意思額に影響を及ぼす要因についても検討を行った。結果として、水中運動プログラムに対する支払意思額として、参加者は1回2135円の価値があると回答したが(価値額)、実際に支払ってもよいと考える額(支払意思額)は1回あたり1359円であった。価値額の高さに影響を及ぼす要因は、参加年度が新しいこと、居住地域が農山村部であること、参加時点の痛み自己管理セルフ・エフィカシーが高いことであった。一方、支払意思額の高さには、参加時点で腰痛がなく、痛み自己管理セルフ・エフィカシーが高いこと、参加後に膝の痛みが改善し、身体的健康度が改善したと感じていることが影響を及ぼしていた。プログラム参加者1人1回当たりの費用は、3218~3762円となり、純便益(便益-費用)は-1859~-2403円であった。現状では、参加者の所得や戦略バイアス(行政サービスは無料あるいは低料金であるべきという認識、有料化・自己負担額の増加を危惧しての過小評価など)の影響を考慮していないことが課題であり、今後は水中運動教室に直接要した費用だけでなく、実施したことによって節約された医療費を考慮した分析を行う必要がある。
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