研究課題/領域番号 |
21500696
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (00318817)
|
研究分担者 |
中村 好男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00198251)
柴田 愛 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 次席研究員 (30454119)
石井 香織 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (10548697)
|
キーワード | 介護予防 / 経済的評価 / 運動プログラム / 要介護認定 / 老年症候群 / 筋力トレーニング |
研究概要 |
本年度は、心身の機能低下が認められる虚弱高齢者を対象に、介護予防を目的とした自宅でも実施可能な抗重力筋を鍛えるための筋力向上トレーニングプログラムを実施し、特に経済的側面に着目して効果を検証することを目的とした。具体的には、自重負荷筋力向上トレーニングプログラムの実施が、要介護認定へどのような影響を及ぼすかについて検討することであった。対象者は、介護予防のための健診を受診し、身体虚弱あるいは転倒のリスクを保有する65歳以上の虚弱高齢者のうち、自重負荷筋力トレーニングプログラムまたは介護予防教育プログラムへの参加に同意した35名であった。研究デザインとして、性、年齢、老年症候群リスクを調整しながら、自重負荷筋力トレーニング群(以下筋力トレーニング群:18名)あるいは介護予防教育群(以下講座群:17名)にランダムに割り付け、3ヶ月間のプログラムを実施した。また、プログラムへの参加を希望しなかった虚弱高齢者のうち、介護認定状況に対する追跡調査への参加に同意した26名を観察群とした。プログラム実施から20ヶ月間の各群の要介護認定状況を調査した結果、筋力トレーニング群では18名のうち2名(11.1%)、講座群では17名のうち2名(11.7%)、観察群では26名のうち3名(11.5%)が新規に要介護認定を受けていることが分かった。要介護認定を受けた理由としては、筋力トレーニング群2名、講座1名、観察群1名が悪性新生物によるものであった。その他の3名は、それぞれ変形性脊椎症(講座群)、老年期精神病および多発圧迫骨折(観察群)によるものであり、老年症候群が原因で要介護認定を受けたと考えられた。以上の結果から、本研究で実施した自重負荷筋力向上トレーニングプログラムへの参加が、老年症候群による要介護状態に陥ることを予防でき、介護費用の抑制につながる可能性が示唆された。
|