研究概要 |
本年度は、これまでに申請者が実施してきた様々な社会調査データをとりまとめてデータベース化し、健康上の認知度や運動実施状況に関する実情を把握し、身体活動や運動に「興味を持たないもの」の認知行動的変数の基準値(ベンチマーク)を作成するとともに、本邦において従来行われてきた身体活動増進施策(エクササイズガイド)の認知状況とその身体活動促進効果について検証し、関連学会で発表した。また、米国疾病疫学センターが主催するNational Conference on Health Communication, Marketing, and Mediaに参加。米国での健康増進政策であるHealthy People 2020の策定に向けた、ヘルスコミュニケーションと社会マーケティングの重要性ならびにその具体策について議論を行った。 次に、身体活動・運動への興味を高めるゲートウェイとなりうるのかを検討するために、社会調査会社の調査モニター1103名を対象に、インターネットによる横断的質問調査を実施した。このうち、運動行動変容ステージの前熟考期または熟考期に属する583名(52.9%)を解析対象者とした。性別(男性または女性)および世代(20-30歳代または40-50歳代)で層化した上で、14種のスポーツ種目、11種の健康行動、および28種の趣味・余暇活動に対する興味の有無が熟考期への推移をもたらす因子としての有意性をパス解析により検証した結果、身体活動・運動に関する内容に加えて、車・ドライブ・バイク(40-50歳代男性)、音楽・カラオケおよび食事量や塩分・糖分・脂肪分の摂取制限(20-30歳代女性)、スポーツ観戦(40-50歳代女性)が、熟考期に直接影響を与えた。これらの結果は、健康行動に加えて、趣味・余暇活動への興味が、身体活動・運動への興味に関するゲートウェイとなり得ることを示唆していた。
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