研究概要 |
本申請課題の目的は、ゲートウェイ理論(運動への関心を高めるきっかけ=ゲートウェイを活用した行動促進戦略)を用いて、運動への関心が低い者の行動変容を捉す方法論を開発することである。平成23年度は、これまでの研究成果を公表するとともに、平成22年度に開発した趣味・余暇活動プログラムが、従来型のウォーキングプログラムと比較してどの程度の効果を有するのかを、プログラム応募率と運動への関心向上の観点から明らかにした。 社会調査モニターから抽出された運動無関心者1,618名(40~64歳)を、3群(趣味・余暇活動プログラム群、ウォーキングプログラム群、対照群)へ無作為に割り当てた。それぞれのプログラム群に対しては、質問紙による事前調査の末尾で、それぞれのプログラムへの参加募集を行った。参加希望者には、先行研究(ウォーキング:山脇他[2007]、趣味・余暇活動:平成22年度の成果)で開発したプログラムを8週間提供した。分析の結果、両プログラム間で、参加応募率に有意差はなかった(ウォーキング18.4%、趣味・余暇活動21.3%)。一方、調査期間中に運動への関心が高まった者の割合は、趣味・余暇活動プログラム群で49.6%、ウォーキーングプログラム群で71.3%、対照群で24.5%であり、全てのプログラム間で有意な差異が認められた。 以上の結果から、趣味・余暇活動プログラムであっても、1)従来型のウォーキングプログラムと運動無関心者の参加応募率は同程度であるものの、2)ウォーキングプログラムの3分の2私度は、運動への関心を高める効果を期待できることが明らかとなった。従って、ゲートウェイ理論に基づいて本申請課題で開発・検証した趣味・余暇活動プログラムは、従来型より効果は弱いものの、従来型プログラムの代替手段としての役割を果たし得ることが示峻された。
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