昨年度に引き続き、2009年10月~11月に、東京都東部、千葉県西部の認可保育所14保育所の保育園児の保護者を対象に行った、共働き夫婦における育児と仕事との両立に関する質問紙調査のデータを分析した。親族からの家事育児援助と居住関係との関係、親族の援助と夫の家事・育児分担との関連、および、これらの項目と夫の分担・協力への妻の評価との関連について検討することを目的とした。本研究の分析には、妻方夫方とも祖母または祖父がおり、分析項目についての回答が得られている545組の調査票を用いた。結果は、(1)病気の子どもの世話についての妻方夫方の援助は、双方の援助無し、または低援助が27%、主に妻方46%、主に夫方18%、双方から高援助が9%であった。居住関係との関係では、行き来の時間が夫方よりも妻方の方が短い場合に妻方援助の割合が高く、夫方の方が短い場合は夫方援助割合が高い。また、双方との時間が同程度の場合は妻方の援助割合が高い。日常的な家事・育児援助は妻方が10%、夫方は5%である。(2)夫の病児の世話の分担得点は、妻方との行き来の時間が短い場合に低い傾向が認められた。また、夫の育児参加度と親族支援との関係では、妻方親族の支援がある場合、夫の参加が低い傾向が認められた。(3)夫の分担・協力への妻の評価と日常的な夫の家事・育児得点とは、強い相関がみられるが、親族の援助と妻の夫への評価とは関連がみられないことが明らかとなった。親族の援助と夫婦の結束は対立するか否かについて1960年以降のネットワーク研究においてしばしば議論されてきており、関心の高い論点である。本研究の知見からは、手段的側面からみると対立するが、情緒的側面では夫婦の結束に影響しないと結論づけることができる。
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