本研究は、以下の2点を目的として研究が進められた。 (1)3歳未満児保育の行われている、保育所と乳児院において、心理的拠点形成をすすめる工夫をどのようにおこなっているのか、保育環境一特に人的環境と物的環境の両面一から調査し、保育所と乳児院において、観察法・質問紙法・面接調査法の3つの調査によって資料を収集し、実態と問題点を明らかにする。(2)その際、心理的拠点としての「人」「物」「場所」の機能、乳幼児にとっての発達的意味を明らかにしながら、3歳未満児保育における、人間関係のあり方、保育環境のあり方、および保育者の役割を、乳幼児の心理的拠点形成と発達のプロセスにそって考察する。 平成23年度は、平成22年度に行われた全国の保育者を対象とした意識調査と、ある保育園1歳児クラスの新入園児の慣れ過程の分析の両者をデータ解析した。そしてその結果を日本保育学会第64回大会および日本保育学会第65回大会で口頭発表や論文発表を行った。本研究では、3歳未満児の集団生活の場として存在する保育所だけでなく、24時間の生活の場である乳児院での子どもの生活活動とそれを支える保育環境のあり方について分析しており、また、日本の保育者の意識の実態、運営形態による保育環境の違いについても、データ収集が行われており、今後の3歳未満児保育の質向上にとって、大きく寄与できるのではないかと考えている。
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