研究課題/領域番号 |
21500717
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研究機関 | 東京富士大学 |
研究代表者 |
伊波 和恵 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (90296294)
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研究分担者 |
下垣 光 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (30287792)
田畑 智章 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (00329103)
篠崎 香織 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (50362017)
富岡 次郎 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (60387115)
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キーワード | お墓 / 中高年 / ライフスタイル / QOL / 死生観 / 日米比較 / 家族関係性 / ワークファミリーコンフリクト |
研究概要 |
われわれは、直接的ではなく間接的に"死"への態度を把握できるような調査方法の開発を目標として、"お墓"に注目した。すなわち、中高年者を対象に、死生観とライフ・イベントとしての"お墓"をめぐる意思決定との関連を調査することにより、現状では把握しづらい日本人の死生観に対する測定アプローチを検討、構築することを目的としている。これは、ひいては高齢者の精神的健康(QOL)向上のインフラ提供につなげうると想定した。直接的ではなく間接的に"死"への態度を把握できるような調査方法の開発という目標を達成するために、より規模の大きいサンプルでの質問紙調査およびインタビュー調査を行った。また、"お墓"を通じて提起された家族観ならびに家族関係性の再構築という観点から、ワークファミリーコンフリクト(WFC)と家族の関連性を検討した。 (1)質問紙調査に基づき、中高年者のQOLと死生観に関する要因を検討し、意思決定プロセスのモデル構築を行った。お墓の選択、死生観の形成、QOLの維持・向上との関連を結びつける理論的根拠について考察した。その結果、死生観(積極的受容・中立的受容)がお墓の必要性と関連があり、また、お墓の必要性はQOL(現在の満足感・心理的安定感)と関連することが示唆された。(2)インタビュー調査を通じて、東京近郊在住者とサンフランシスコ在住者のお墓への態度をめぐる相違性について検討したところ、故人や祖先との情緒的つながりに言及する日本人に対して、アメリカ人においては、お墓を物理的・無機的に捉える傾向が示された。(3)家族関係性の再構築を踏まえたWFCに関する調査においては、インタビュー調査ならびに質問紙調査を通じて、壮年期のビジネスパーソンが抱えるWFCが定位家族・生殖家族のいずれでも発生しうること、また、同時に発生しうることが示され、それらのWFC事態は向老期に先立って、家族関係性の再構築が促される契機となり得ることも示唆された。
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