研究概要 |
平成21年度から実施している徳島県上勝町での調査は、まさにこれからの日本社会が直面するさまざまな問題を解決する糸口になると思われる事柄を見いだした。人口2,000人足らずのこの町の高齢化率は49%。二人にひとりは高齢者。しかし、この町の高齢者は概してみんな元気で生き生きと暮らしている。一人ひとりに直接出会い、そしてインタビュー調査を行っての実感である。その背景にはどのような要因があるのかを明らかにするためには、23年度の実施計画にあるように、22年度に実施した調査を分析し解明する必要がある。 平成22年度に実施した調査の概要を示す。調査対象者176名、平均年齢は72.2±6.7歳、単独世帯23.2%であった。上勝町の就労の特徴である「いろどり農家」の割合は22%であったが、収入のある仕事をしている割合は50.8%であった。また、収入のある仕事をしている人の仕事をする理由は、収入を得たいが最も多く、次いで、健康のため、ずっと仕事をしていたいが主な理由であった。収入のある仕事をしている日数では、週に5日間が多く、仕事の時間は1日に5時間程度であった。さらに、公的援助を受けている割合は20%程度であった。健康観については、普通とする人が最も多く、どちらかというと健康と感じている割合が高かった。 このように、徳島県上勝町に住まう高齢者は年齢が高くても何らかの仕事をしており、健康感が良好であることがわかった。高齢者のQOLを高め、これからの日本が抱える諸問題を解決するために本研究のもつ意義は大きい。
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