本研究は、ストック型社会に向けた住まい手の住まいに対する価値観の転換(購買意識からものづくり意識への転換)を目的とし、住まい手の主体的な参加を促すための住まいづくり学習、住まい手と作り手との信頼関係形成のための情報提供および学習支援策の検討を行い、これらの結果に基づいた住まい手対象の学習会を実施し、その有効性を実証する。また、住まい手が主体的に住まいづくりに取り組むための情報・学習支援体制の確立を目指す。平成21年度は作り手側の住まいづくりに関する情報提供のあり方を検討した。 1.建築士会のウェブサイトによる情報提供の現状把握 47都道府県建築士会のウェブサイトを調査し、提供情報の分析を行ったところ、建築士会ウェブサイトは会員である建築士だけでなく、一般市民、特に住まいづくりに取り組む住まい手を対象とした情報提供を行っていることがわかった。ただし、住まい手を対象とした住まいづくり情報を提供している建築士会は16件にとどまり、情報内容にもばらつきがある。住まいづくりの作り手に関する情報が氾濫している現在、信頼性のある専門家組織による情報提供が必要であると位置づけた。 2.住まい手の住まい観育成のための学習支援の検討 建築士とワーキンググループを立ち上げ、作り手が発信する住まいづくりに関する情報内容、説明事項内容の検討を行った。検討の結果、住まい手が主体的に住まいづくりに取り組み、判断を下すためには、住まいづくりのプロセスへの理解および自己の住まい観を確立する必要があると結論づけた。これをふまえ、住まい観育成のための学習支援ツールの開発を行った。次年度は学習支援ツールの完成を目指し、住まい手による試用・評価を実施する予定である。
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