本研究は、ストック型社会に向けた住まい手の住まいに対する価値観の転換(購買意識からものづくり意識への転換)を目的とし、住まい手の主体的な参加を促すための住まいづくり学習、住まい手と作り手との信頼関係形成のための情報提供および学習支援策の検討を行い、住まい手が主体的に住まいづくりに取り組むための情報・学習支援体制の確立を目指す。平成22年度は住まい手の住まい観育成のためのワークシートを作成し、ヒアリング調査を通して評価を行った。 1) 住まい手の住まい観育成のための学習支援の検討 昨年度からの継続として、住まい手が主体的に住まいづくりに取り組み、判断を下すためには、住まいづくりのプロセスへの理解および自己の住まい観を確立する必要があるという認識の下、住まい観形成のための学習支援ツールの開発を行った。 2) 住まい観形成のためのワークシートの実践と評価 1) で作成した住まい観形成のためのワークシートについて、住まい手に試用評価をしてもらい、その有効性について検証を行った。ワークシートでは住まいに対する考えの見取り図を作成する。シート中央に「住まいに対する考え」と中心となるテーマおよび関連キーワードを配置し、キーワードから連想することを言葉や短い文章にして書き出し、線でつないでいく。住まい手による評価から、今回提案したワークシートは住まい観の視覚化、住まいづくりでの活用の可能性が示唆された。また、これらの配布主体として作り手である建築設計事務所、ハウスメーカーのほか、非営利性を確保できるNPO、教育者、研究者があげられた。次年度は、住まい手と作り手の価値観共有のためのツールとしてのワークシートの可能性を検討し、ワークシートの完成を目指す。
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