研究課題/領域番号 |
21500726
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
谷村 雅子 関東学院大学, 人間環境学部, 客員研究員 (90014191)
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研究分担者 |
大熊 加奈子 日本女子大学, 人間社会学部, 学術研究員 (00399487)
土谷 みち子 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (00389868)
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キーワード | 乳幼児 / 親子関係 / IT / 生活時間 / 発達 |
研究概要 |
近年わが国では、表情が乏しい、親と視線を合わせない乳児の増加、小児の言語・社会性の発達の遅延化が報告され、乳児期からの対人経験の減少が懸念される。その一因に、子どもに声かけしない家庭が増えていることや映像メディアを用いたIT機器(テレビ・ビデオ、携帯電話・メール、インターネット、PC、ゲームなど)の普及で、親の子どもへの視線が奪われ親子の直接の関わりが減少していることが予想される。 乳児期早期からの声かけ、子どもと親のIT接触の実態を調査し、発達、子どもの親への信頼感、親子関係への影響を疫学的に把握してIT機器の適切な利用方法を提言することを目的として、無記名・自記式の質問紙法による、4ヶ月時および11ヶ月時または18ヶ月時のIT接触状況を含む親子の生活時間や養育環境・声かけと発達に関する縦断調査を企画した。 1)11ヶ月時追跡調査:本年は、昨年、近郊都市で行った4ヶ月時調査の対象児360名について11ヶ月時の追跡調査を行った。4ヶ月時に授乳中にTVを付けていた家庭は付けていなかった家庭に較べ、11ヶ月時にも母のTV視聴時間や子どもの近くのTVが付いている時間が有意に長かった。子どもは、親に見せたい物をもってくる、視聴時に親に共感を求める、親に質問する、画面の人に声をかける率が低い傾向がみられた。乳児期早期からの子どもの近くでの映像メディア使用は、子どもの親やヒトへの信頼感や関心の低下を招く可能性が懸念される。 2)他地区での調査:多数例で確認するため、首都圏2地区の保健センターの協力を得て、現在までに、4ヶ月健康診査対象児計1457名について回答を得た。両地区とも、4ヶ月児の近くでTVが平均4.0時間/日ついており、3%弱の家庭では付けっ放しであった。授乳中にTVや携帯を使う家庭はそれぞれ8割と6割を占めていた。来年度に18ヶ月時調査を予定している。
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