研究概要 |
平成21年度の研究では,靴のサイズと歩行動作の関係を靴のサイズを足長サイズ及び足囲サイズの2種類に注目し,それぞれのサイズの違いに伴う脚への負担及び歩行動作への影響と評価指標について検討した.延べ10名の被験者を用い、試料15サイズ、計150試技の歩行実験を行ない、下肢の筋電図および接地中の荷重点移動軌跡、床反力、着地時の膝の衝撃加速度を計測した。また各サイズの試技終了後に、歩行感覚に関する主観的調査(アンケート)も実施した。実験結果から,足長サイズおよび足囲サイズともに基準サイズよりも1cm以上大きくなると下肢における筋負担が増し、歩行動作に影響をおよぼすことが明らかとなった.特に荷重点移動軌跡のなす面積と床反力及び歩行感覚の結果から、足長サイズよりも足囲サイズの不適合のほうが問題だと考えられる.このことから,従来の靴選びの観点に加え歩行動作(動的)での脚への負担及び歩行動作への影響からみた機能的な適合が重要となってくると考えられる.今年度の結果から実際にユーザが靴を選ぶ際に適合サイズを選ぶには,従来の靴型と足型の形状的なフィッティングに加え候補となる靴で数歩の歩行し,靴内での足のズレが少なく,蹴りだし動作がうまくできるのかをチェックすることが望ましいことがわかった.さらに、フットウェアであるシューズの適合性評価指標としては、床反力や前脛骨筋および腓腹筋の筋電位積分値、接地中の荷重点移動軌跡が適していることが明らかとなった。床反力ではセカンドピーク値の大小から、筋電位積分値ではその大小から、荷重点移動軌跡では複数試技によって得られる軌跡がなす面積から動作の再現性を判断することが、今後構築する適合性評価システムで重要となってくると考えられる。
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