研究概要 |
平成22年度の研究では,安静時の衣服圧に対する生理的ストレス計測および着用感計測を中心に実施した。実験計測では、足部のインステップ囲付近に作用する締め付け圧と着衣快適性の関係を、生理的および心理的な計測から検討した。健常な成人男女18名を被験者とし、座位にてマジックテープ式バンドでインステップ囲付近に締めつけ圧を10~50gf/cm2の範囲で10gf/cm2ずつ段階的に作用させ、その時の心電図計測による生理的ストレス評価および着衣快適感(締め付け感)評価を行なった。その結果、インステップ囲付近に作用する締めつけ圧が20gf/cm2の時、着衣快適性が最も高いことが明らかとなった。このことから、着衣快適性に富む靴下設計で一つの指標となる可能性が示唆された。さらに、今回用いた生理的ストレス計測は、フットウェアの適合性評価手法として有効であることが明らかとなった。 一方、パンティストッキング(以下パンストとする)を用いた着衣快適性評価においては靴や靴下よりも皮膚をカバーする面積が大きいという特徴を踏まえながら、靴下を用いた実験と同じ計測項目で実施した。被験者数は女性20名とし、実験に使用するパンストは通常タイプ、衣服圧が脚全体に比較的高圧なタイプ、膝下のみ比較的高圧なタイプの3種類用意した。結果として、足首は40gf/cm2程度,ふくらはぎは30gf/cm2程度,膝,太ももは10gf/cm2程度の衣服圧が適度であることが明らかとなった。このことから、着衣快適性に富むパンスト設計で一つの指標となる可能性が示唆された。
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