研究概要 |
フットウェアに対する適合性評価では、被験者の足部(脚)形態に応じて足部とフットウェア間に生じる衣服圧や、足長/足囲サイズと靴サイズの違い・ヒール高の違い・ソックス形状の違いによる歩行動作への影響などに注目する必要がある。平成23年度の研究では,まず、着衣快適性が良好な衣服圧の特定を行なった。その結果、衣服圧が20~33gf/cm2で生理的ストレスが比較的小さく、履き心地も良いことが明らかとなった。また、フットウェア生地の伸長率の違いで、歩行中の衣服圧に変動に違いが現れるが、この衣服圧変動幅が小さいとき歩き心地も良くなる可能性が示唆された。次に、足長/足囲サイズと靴サイズの関係では、足長では1cm以上、足囲では2ウィズ以上、靴サイズが足部サイズから大きくなると歩行時における下肢の筋活動が増大するなどして、歩行動作に影響が出ることが明らかとなった。このとき、足長サイズよりも足囲サイズの不適合の方が影響は大きいこともわかった。一方,婦人靴のヒール高では、6cmを越えると歩行時の下肢筋群への負担が増大することから、婦人靴の適正なヒール高は、5~6cmが限界であることが明らかとなった。さらに、靴下形状の違いでも歩行時(特にけり出し時)の下肢筋群の活動量に差異が確認された。 これまでの研究から、適合性評価におけるポイントや評価指標を得ることができた。評価ポイントとしては、着衣快適性と動作負担(効率)があげられる。また、評価指標として、着衣快適性では心電図計測を利用した心拍変動解析によって、生理的ストレスを求めることが有効である。動作負担(効率)に対しては、筋電図計測や歩行時の地面反力・足底圧計測などで評価できる事が明らかになってきている。これらの計測や評価指標をもとに、適合性評価システムの基本的な設計思想は完成したことから、実際の評価システムは計測制御ソフトLabVIEWを用いて、評価システムアプリケーションの開発に取り組んだ。フットウェアを着比べたり、数回歩いたりすることで適合性を評価する初期バージョンを作成した。
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