研究概要 |
大学生18名(男性9名,女性9名)を対象にして,机・椅子の号数変化による着座時の学習者の意識,ストレス反応,疲労度および血流速の変化を測定した。被験者の身長から割り出した適正な机・椅子の高さ(適と略す)を基準とし,その高さから1号だけ高い高さ(高と略す)と,1号だけ低い高さ(低と略す)のスチールパイプ製の机・椅子を使用し,この3段階に無作為に高さの順序を変えて実験を行った。また,20分間文字を書くという着座時の作業を3段階め高さ毎に被験者に行ってもらい,各作業の直前と直後に着座状態で,唾液アミラーゼモニターを使用して学習者のストレス反応を計測し,同時にフリッカー値測定器を用いて疲労度を計測した。また同時に,超音波双方向血流計を使用して足の内果近くの後脛骨動脈の血流速の変化を計測した。また,各作業後の10分間の休憩時間内に,使用した机・椅子についてアンケートによる意識調査を行った。 机・椅子の高さの違いによって学習者に影響が出てくるかを検証するために,一元配置の反復測定による分散分析を行った。その結果,机・椅子の高さの違いによる唾液アミラーゼ値の有意差は特にみられなかった。一方,作業直前と直後のフリッカー値の差を比較した場合は,高と低の間に危険率5%以下で有意差がみら れ,各作業後の値を比較した場合は,高と低の間に危険率5%以下で有意差がみられ,高と適でも危険率10%以下で有意差がみられた。すなわち,低の机・椅子でほ,適や高と比べ疲労度が高いことが明らかになった。また,机・椅子の高さの違いによる最高血流速の値では有意差はみられなかったが,作業直前と直後の平均血流速の差を比較した場合は,高と低の間に危険率10%以下の有意差がみちれ,低のときに平均血流速が最も速くなっていたことがわかった。また,アンケートによる意識調査の結果から,主観的疲労度は低の場合に最も高く,適と高の場合に少ないことがわかった。
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