研究概要 |
(1)「墨田区における高齢者の地域居住継続にかかわる住要求」の学会論文提出 平成22年度に実施した東京都墨田区内の65歳以上の高齢者5%抽出2,600人に対し、有効回収730人のデータを解析して学会論文として提出し査読中である。ここでは8割近くが自宅継続希望であり、墨田区内の転居者を含めると98%が墨田区内での継続希望をしていることが明らかになった。これらについて自宅継続希望者、区内転居希望者、区外転居希望者により住要求及び生活要求から分析を行い、居住継続要因と非継続要因を考察している。審査の過程で、居住継続希望者が大多数ではあるが、(1)時間の経過に伴い居住継続の主体的・客観的条件の変化が予想されること、(2)持家であっても耐震対策や老朽化対策が必要であること、(3)住宅に対する満足が高いにもかかわらず転居する理由に関しての詳細な分析を加えた。 (2)居住支援継続を阻害する要因に関するインタビュー調査 上記(1)において限界であった居住継続困難要因分析について、25%を占める年収200万円未満の高齢者の独自集計と、所有形態別-持家及び借家についてインタビューを行った。公営住宅(都営住宅)の住宅の質と住居費負担の評価は高く、民間借家については居住の不安定がみられ、民間借家対策が必要であることが明らかになっている。自宅で居住継続を可能とするためには24時間介護システムがなければ困難であると同時に、介護度が高く、特に認知症の場合等は家族介護には限界があることが確認された。 (3)地域居住支援システムの構築について こうした高齢者の居住継続実態と要求に対する地域居住支援システムの構築にあたっては、国・東京都の制度を背景に、墨田区の公共セクターと企業(高齢者施設事業者、介護サービス事業者)、民間非営利組織等の民間セクターが相互に補完しあう"すみだ型地域居住支援システム"を構想している。
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