本研究では、脊髄損傷による下肢障害のある人を対象とした質問紙および面接調査と、その居住自治体の支援サービスに関する調査から、住宅選択・確保する際に直面する困難およびその構造の一端を明らかにした。すなわち、(1)住宅改善が障害のある人の経済的負担や賃貸住宅での入居制限などの住宅確保の困難につながっていること、(2)この背景には、障害のある人の住宅に対する公的支援の限界、バリアフリー化住宅の量的不足があり、(3)ひいては住宅確保を国民の自助努力とし、住宅を個人の資産ととらえてきたわが国の住宅支援施策からもたらされていること、である。
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