平成21年度調査の成果のうち、「モノの出納と生活管理の状況」にひきつづき、調査のもうひとつの柱であった「集中収納空間としての納戸とその使われ方の実態と評価」について、質問紙調査回答者への追跡調査(インタヴューおよび観察)を加え、さらなる分析をした結果、納戸の保有率は83%と極めて高いこと、その空間特性として、当初から設置されている納戸は、4畳未満の小間中心、約2割の居室を転用した納戸は6畳以上のものが多く、大多数が寝室近くや屋根裏などの寝室圏に設置されていることが明らかになった。さらに使われ方は納戸1室の場合、季節用品や非日常品の収納が多いが、ストックを含む日用品収納、更衣機能を含む衣類収納と、これらを複合した機能をもつものがあり多様であること、納戸2室の場合は、2室とも「非日常品」収納として使う場合と、「非日常品」と「日用品」収納に使い分ける場合、大きく2つに分かれることが明らかになった。空間条件として、機能(収納品)に対応する住宅における位置どりと、収納品への生活管理行為の重要性を指摘できる。さらに日用品の収納や、非日常品と不用品などの異種のものの分類収納のために、作りつけの棚など、納戸内に分類収納のための空間的なしかけが必要である。なお、以上の調査分析と併行して、住宅メーカー側の収納空間のデザインの取組状況として、プレハブ住宅メーカー20社の企画住宅カタログの分析、京都市内に供給されている建売住宅の動向として、2010年1月から2月の新聞折込広告に掲載された分譲住宅137件の平面分析を行なった。本年度末には最終年度初めに実施する集合住宅を対象とする住み方調査の調査票の作成、調査対象の選定作業にとりかかった。
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