研究課題/領域番号 |
21500748
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研究機関 | 岐阜市立女子短期大学 |
研究代表者 |
村上 眞知子 岐阜市立女子短期大学, 生活デザイン学科, 教授 (80123628)
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研究分担者 |
藤本 尊子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00115073)
松平 光男 金沢大学, 学校教育系, 教授 (10142621)
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キーワード | 羊毛 / プラズマ加工 / 布の力学特性 / 接着複合布 / 剥離強度 / 布の熱物性値 / 布の通気性能 / 官能検査 |
研究概要 |
紳士服、婦人服を問わず、軽量化、新素材化の傾向の一方で、旧来の天然繊維素材への回帰がみられ、2011年秋冬には羊毛が市場の大きなトレンドとなった。このような背景の中で、羊毛製品をもっと身近に日常の衣生活に取り込むことができ、環境負荷が少ない方法として、羊毛のプラズマ加工がある。羊毛は、弾力性、吸湿性、染色性、保温性、撲水性、難燃性に優れているばかりでなく柔らかな肌触りや美しい風合いが好まれているものの、縮絨性のために、日常の管理が煩わしいということで、その消費量はポリエステルなどの合成繊維に比べるとかなり少ない。プラズマ加工は、羊毛の防縮技術として1970年代から研究が進められている。その技術開発の過程の中で、プラズマ処理を施すことにより、羊毛布に接着芯地を接着する場合、通常の接着条件よりも接着性があがることが知られているが、その詳細についてはまだ明らかにされていない。今年度は、プラズマ加工による、羊毛素材の力学特性の変化、接着性の違いを定量的に捉えることを中心に研究を進めた。その結果、プラズマ処理により曲げ剛性、せん断剛性などが大きくなる傾向が見られる一方、接着性に関しては通常の温度条件より低温で一定の接着強度が得られることがわかった。今後は、接着による風合いの変化と、プラズマ処理による変化のバランスを考慮した条件設定について研究を進める。また、羊毛に防縮加工を施すだけでなく、さらに縮絨コントロールや、樹脂加工、酵素処理などにより、様々な風合い、表面特性を持つ生地を作り出すことができ、より広い用途への羊毛の利用が期待できる。同一工程で製造された羊毛織物に、15種類の異なる後処理を施し、それらの力学特性、温熱特性の計測と官能検査を行い、処理の違いによる力学特性の変化を捉え、新たな風合いの創造への基礎資料を得た。
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