研究課題/領域番号 |
21500749
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
阪東 美智子 国立保健医療科学院, 建築衛生部, 主任研究官 (40344064)
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研究分担者 |
鈴木 晃 国立保健医療科学院, 建築衛生部, 室長 (20187701)
野口 祐子 聖学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (70383304)
林 志生 目白大学, 保健医療学部, 助教 (50509635)
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キーワード | 建築環境・設備 / 医療・福祉 / 人間生活環境 / 障害 / 住宅 / 肢体不自由 / 子ども / 入浴 |
研究概要 |
本研究は、肢体不自由児の成育および子育てにおける居住環境の課題を明らかにし、肢体不自由児の在宅生活像に基づいて住環境整備の手法や介入時期を検討することを目的としている。本年度は特に介助負担が重い入浴動作に着目し、以下の二つの調査により入浴介助の実態と課題を把握した。 1. 肢体不自由児の在宅における入浴動作に関する事例調査 先行研究により家庭訪問をした22事例のうち、自宅の浴室を使用している就学期以降の10事例を抽出して再訪問した。介助者からのヒアリングを中心に実際に入浴介助を擬似的に実施してもらい、その様子をビデオカメラによって記録した。体重の軽い(15kg以下)子どもの場合は主に抱きかかえ介助によって入浴が行われていたが、介助者の負担が大きい床からの抱きかかえ介助の回数が多くみられた。体重の重い(30kg以上)子どもの場合、入浴介助時には積極的に福祉用具を導入していたが、一連の介助の過程で依然として抱きかかえ介助がみられた。また、入浴の直接的な介助のほかに、準備や後始末に費やす労力・負担も大きくなっていた。無理な姿勢の介助動作も見られ、住空間や福祉機器だけでなく介助動作に関する知識や情報も不足していることが明らかとなった。 2. 肢体不自白児の在宅における入浴介助と入浴環境に関するアンケート調査 全国の肢体不自由特別支援学校のうち36都道府県44校に在籍する肢体不自由児の保護者を対象に、無記名の自記式質問紙調査を実施した(有効回収数1,120、有効回収率21.3%)。入浴の主な介助者は母親であり抱きかかえによる介助が主流を占めること、特に[洗体・洗髪][浴室出入り][浴槽出入り]における抱きかかえ介助で重い負担感を感じていること、対象児の体重が重くても抱きかかえ介助は一定の割合を占めること、などが明らかになった。また約6割が入浴介助で過去に滑りや転倒、溺れなどの危険を経験していた。
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