「凍み」操作(凍結と解凍及び脱水を繰り返して乾燥させる方法)によってダイコンの組織形成条件を明らかにすることを目的に研究を行い、平成21年度は以下の成果を得た。 〔実験(1)〕「凍み」操作前の下処理の効果 ダイコン(φ60×20mm)を試料とし、A.生のまま、B.凍結前に沸騰水中で加熱、C.加熱後流水下で水さらしの下処理を行った後、-5~3℃の凍結・解凍プログラムを約20日間繰り返した。その結果、条件Cの下処理をした試料において、製品の外観が白く良好なスポンジ状組織が形成されることが明らかとなった。また、脱水・乾燥過程で収縮した場合でも、「凍み」操作を行った試料は加熱乾燥試料よりも水戻し時の吸水速度は速く、水戻し後の試料の外観及び食味は良好であった。すなわち、従来の加熱乾燥法よりも「凍み」操作による加工を施した製品の方が、新規食品への汎用性が高いと考えられた。 〔実験(2)〕スポンジ状組織を形成するための凍結条件の検討 同ダイコンを試料とし、凍結条件(-20、-5、-3℃で8~96時間)・解凍条件(20℃1~3時間)を変化させて、内部の気孔数・気孔面積・総空隙率を測定した。その結果、凍結条件では-3℃で凍結した試料に大きな空隙が多数生じスポンジ状組織を呈することが明らかとなった。また、スポンジ状組織の形成へは、最大氷結晶生成帯通過時間や解凍操作の有無よりも、総凍結時間が大きく影響を及ぼすことが明らかになった。きらに、ダイコンでは部位による影響も大きかったことから、「凍み」操作を他農産物へ応用する際の基礎データを得ることができた。
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