「凍み」操作(凍結と解凍および脱水を繰り返して乾燥させる方法)によって農産物の組織形成条件と適用範囲を明らかにすることを目的に研究を行い、平成22年度は以下の成果を得た。 【実験(1)】解凍・乾燥条件の検討 -3℃で2週間保存しスポンジ状組織構造を形成したダイコン試料を用い、5・40・60℃のインキュベーター内で乾燥させ、最適な解凍・乾燥条件を検討した。その結果、5℃では乾燥速度が遅く120時間を要したが、最も着色が少なく、外観が良かった。収縮率にはほとんど差が見られなかった。 【実験(2)】根菜類・果菜類への応用 「凍み」操作の適用範囲を明らかにし、新規食品素材としての可能性を探ることを目的に、17種類の農産物を試料に用い、-3℃に2週間保存して、スポンジ状組織の形成状態を観察した。その結果、ニンジン・ゴボウ・レンコン・ジャガイモ・ブロッコリー(茎)・カボチャ・タケノコ(生と水煮)には多数の空隙が認められた。一方、カブ・タマネギ・アスパラガス・キュウリ・ゴーヤ・イチゴ・リンゴ・キウイフルーツ・サツマイモには、空隙が形成されなかった。糖や澱粉を多く含む農産物は空隙が形成されにくい傾向にあると考えられた。
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