「凍み」操作(凍結と解凍および脱水をくり返して乾燥させる方法)によって農産物の組織形成条件と適用範囲を明らかにすることを目的に研究を行い、平成23年度は以下の成果を得た。 【実験1】ジャガイモ及びニンジンの「凍み」操作条件の検討 ブランチング処理を行ったものと生のジャガイモ及びニンジンを試料に用い、スポンジ状構造を最も形成しやすい凍結条件を検討したところ、何れも-10℃7日間で空隙の面積率及び個数が最も大きくなった。また乾燥条件を検討したところ、時間はかかるものの、105℃や60℃より5℃が乾燥後の製品の着色が少なく収縮も少なかった。ジャガイモの場合は、ブランチング処理を行うとスポンジ状構造を形成しやすく、乾燥後の製品は白く仕上がったが、ニンジンでは差がみられなかった 【実験2】ジャガイモ及びニンジンの凍み製品の性状 ジャガイモの場合、ブランチング処理を行った製品は、吸水率の上昇が速くまた大きく、煮熟後の破弾力が小さかった。官能検査の結果、ブランチングありの凍みジャガイモは、生ジャガイモの煮熟状態と近いが、煮くずれしにくく、長時間の煮込み料理などに適すると推察された。ニンジンの場合はブランチングの有無では製品の差がほとんどみられなかった。煮熟後の官能検査の結果、生ニンジンより凍みニンジンは外観は劣るが、味のしみこみが良く固い食感であった。
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