研究概要 |
市販の乾燥ズイキおよび赤ネギから80%エタノールで色素を抽出後,オープンカラム(Diaion HP-20)に負荷し吸着させた。これを水洗後80%エタノールで溶出し,濃縮,減圧乾固した後,エーテルで洗浄,凍結乾燥してズイキ・赤ネギ粗色素を得た。これら粗色素について,チロシナーゼ活性およびヒアルロニダーゼ活性を測定し,他のシアニジン配糖体(シアニジン,シアニジン-3-グルコシド,シアニジン-3-ガラクトシド,シアニジン-3-ルチノシド,およびシアニン)と比較した。その結果,ズイキ・赤ネギ粗色素は,いずれも標準シアニジン配糖体よりも活性が低かったが,これは色素の精製度によるものと思われた(ズイキ粗色素のチロシナーゼ活性・基質をチロシンとした場合のIC^<50>=1.26mg/ml,ヒアルロニダーゼ活性IC^<50>=365μg/ml)。ズイキ色素を形成しているメインのアントシアニンであるシアニジン-3-ルチノシドの活性はいずれも高かった(チロシナーゼ活性・基質をチロシンとした場合のIC^<50>=0.17mg/ml,ヒアルロニダーゼ活性IC^<50>=43μg/ml)。またシアニンの活性はいずれも低かった。一方,ズイキ粗色素の食品添加物素材としての有用性を探るため,ズイキ粗色素を添加したクッキーを作成し,50℃で保存し過酸化物価(POV)の経日的変化を測定した。その結果,保存72日目でズイキ色素を添加したクッキーのPOVは無添加クッキーの約60%となり,酸化を抑制したが,色素添加量0.05%と0.2%では差が認められなかった。
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