研究概要 |
本年度は,加賀能登特産の野菜類の機能性測定を中心に実験を行った。赤ズイキおよび赤ネギから抽出した粗色素(市販の乾燥赤ズイキおよび生の赤ネギ皮から80%エタノールで色素を抽出後,Diaion HP-20オープンカラムに負荷し吸着させた。カラムを水洗後80%エタノールで色素を溶出し,濃縮,減圧乾固した後,エーテルで洗浄,凍結乾燥して得た)のほか,加賀野菜であるヘタ紫ナス,赤皮カボチャなど,また能登野菜である中島菜,能登ミニトマトなどを試料として用いた。 総フェノール量は中島菜,カジメ(海藻),加賀レンコンなどで高く,フェノール含有量の高かった試料について機能性測定を行った。その結果,ヒアルロニダーゼ阻害活性はいずれの試料もほとんど活性を示さなかったが,チロシナーゼ阻害活性(チロシンを基質とする)はセリ,ヘタ紫ナス,加賀レンコンで高かった(いずれもIC_<50>=約50~60ng/ml)。赤ズイキおよび赤ネギ粗色素の活性は低かったが、(IC_<50>=約250~350ng/ml),赤ズイキ色素の主アントシアニンであるケラシアニン(シアニジン-3-ルチノシド)の活性(IC_<50>)は34ng/mlと高かったことから,色素の精製度による違いと考えられた。一方,アルドースレダクターゼ阻害活性は中島菜のメタノール抽出物,カジメおよび加賀レンコンの酢酸エチル抽出液で高かった(いずれもIC_<50>=約0.2mg/m1)。さらに糖化タンパク質生成阻害活性についてELISA法により調べた結果,試料lmgあたりの活性(ルチン相当量)は加賀レンコンで約0.9ng/mgと他の試料に比べて比較的高かったが,赤ズイキ粗色素が約28ng/mgと圧倒的に高い結果となった。しかしケラシアニンの活性は4ng/mgと低く,赤ズイキの糖化タンパク質生成阻害活性はアントシアニン以外のズイキ成分によるものと推察された。
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