研究課題/領域番号 |
21500759
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
久保 加織 滋賀大学, 教育学部, 教授 (10190836)
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研究分担者 |
真部 真里子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50329968)
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 准教授 (80218544)
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キーワード | なれずし / ふなずし / 嗜好性 / 呈味成分 / ペプチド / アミノ酸 / におい / 食経験 |
研究概要 |
滋賀県の伝統的発酵貯蔵食品であるふなずしの嗜好性について、熟成過程における嗜好性成分の変化や嗜好特性の変化を検証するとともに、嗜好性を向上させる因子について検討を行った。 塩漬けふな、およびその塩漬けふなの飯漬けの酸性プロテアーゼ活性は、飯漬け直後が最も高く、その後、低下することが明らかになった。また、多くのタンパク質が飯漬け数日間のうちに分解されることがポリアクリルアミドゲル電気泳動により認められた。低分子ペプチドは、飯漬け2日目までに急激に増加し、その後は徐々に低下した。104日目まで残存していた低分子ペプチドの構成アミノ酸はGluが最も多く、次いで、Asp、Arg、Glyなどが多かった。遊離アミノ酸量は、飯漬け6日目以降、飯漬け期間が長くなるにつれて増加し、Hisを除くすべてのアミノ酸が飯漬け中に増加した。このような飯漬け中のタンパク質の分解が、ふなずしの呈味性に大きく影響していると示唆された。一方、ふなずしの揮発性成分をGC-Oによって分析した結果、塩漬けふなで認められた生臭い匂いは飯漬け9日目に消失し、飯漬け6日目以降は発酵臭が認められるようになり、この発酵臭は飯漬け期間が長くなるほど強くなった。GCMS分析では、塩漬けふなで大きなピークとして検出されたヘキサナールが飯漬け2日目以降で小さくなり、飯漬け6日目以降で酪酸や酪酸エチルのピークが検出されるようになったが、このことは、GC-O分析の結果と関係があると考えられた。 嗜好調査では、一旦、新奇性恐怖が解消された後は、定期的に試食することによって、ふなずしの風味に対する被験者の感度を変化させることなく、嗜好性を有意に向上させることが明らかになった。ふなずしに対する好き嫌いの改善には、ふなずしの食経験の蓄積が大切であると考えられた。
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