研究課題/領域番号 |
21500759
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
久保 加織 滋賀大学, 教育学部, 教授 (10190836)
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研究分担者 |
真部 真里子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50329968)
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 准教授 (80218544)
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キーワード | ふなずし / 嗜好性 / 有機酸 / 脂肪酸組成 / 揮発性成分 / におい / 食経験 / 新奇性恐怖 |
研究概要 |
滋賀県の伝統的発酵食品であるふなずしの熟成過程における成分や嗜好特性の変化を検証するとともに、官能評価により、ふなずしに対する嗜好性について検討した。 塩漬けふなを飯漬けすると、6日目から9日目の間に乳酸、酪酸、酢酸、コハク酸、ギ酸が増加した。乳酸はその後の飯漬け中にも徐々に増加を続け、100日で0.88%に達した。pHは有機酸の増加に伴い、塩漬けふなの6.0から4.4にまで低下し、嗜好性と保存性に大きく寄与すると考えられた。GCMS分析の結果、揮発性成分は飯漬け6日目以降、塩漬けふなのそれとは大きく変化し、特に酪酸と酪酸のエステル類のピークの出現や増加などが顕著であった。さらに、GC-O分析の結果、塩漬けふなに認められた生臭いにおいは飯漬け9日目に消失する一方、飯漬け6日目以降に認められる発酵臭が飯漬け中に強くなることが明らかになった。脂質のTBA値は、塩漬けふな、飯漬けふなともに約1μmol/kgであり、脂質酸化は塩漬けや飯漬け中にほとんど進んでいないと考えられた。脂肪酸組成も塩漬けふなと飯漬けふなの間に大きな違いはみられず、いずれにもn3系多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていた。 20歳代前半の女性を被験者とした官能評価を実施し、ふなずしの週1回6週間の摂食経験やふなずしの歴史・食文化的意味・製造法・栄養・機能性などに関する情報の付与によって嗜好性を変化させることができるかを検討した。ふなずしの総合評価には、摂食前のにおいよりも摂食中のにおいと味のおいしさとの相関が高く、ふなずしの摂食経験を増やすと、嗜好性を向上できることが明らかになった。さらに、ふなずしに関する情報の付与は、総合評価を有意に好転させる結果を得た。
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