獣鳥類の種の違いに基づく食材の特性を解明することを目的として、牛肉と鶏肉、鶏卵についてそのおいしさと生理作用に及ぼす種の影響を調べた。おいしさとしてはうま味に注目し、種の違いがアミノ酸量に及ぼす影響を調べた。その結果、飛騨牛は対照とした黒毛和牛に比べてグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、アラニン濃度が高く、うま味の強い肉であることが示された。鶏肉についても烏骨鶏の方が白色レグホーンに比べてグルタミン酸などのアミノ酸が多く含まれた。鶏卵のアミノ酸量には鶏種による違いは認められず、種の違いは鶏肉のうまみに影響を及ぼすが、鶏卵のうまみに及ぼす影響は小さいことが示された。種の違いが生理作用に及ぼす影響として、烏骨鶏は白色レグホーンに比べて、肉のカルノシン含量が高いため抗酸化作用が強く、卵のシアル酸含量が高いという特徴がみられた。鶏卵のアレルギー強度も種によって異なり、奥美濃古地鶏はアレルギー強度の低い鶏種であることが示唆された。
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