研究概要 |
水道水の飲み水としての質、イメージ向上を主眼として、ミネラルバランスに焦点を当て、国内外の市販ミネラルウォーターおよび水道水の特性を解析した。カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの主要ミネラル元素に加え、極微量に含まれている多種類のカチオン濃度を精査するとともに、味覚官能試験調査を行って水質分析値との相関を求め、飲み水のおいしさに強く影響する要件を抽出した。 【「美味しさ」の要因となる項目】 平成22年度までに、水道水の「美味しさ」評価の要因として「爽快感」「喉越し」「後味」「軟らかさ」「飲みやすさ」の5項目を評価する官能試験を行い、そのうち「爽快感」、「喉越し」、「軟らかさ」が、「美味しさ」に対しての寄与が大きいことを共分散構造解析で明らかにしている。平成23年度は、さらに重回帰分析を用いて解析し、「爽快感」「喉越し」と「美味しさ」に、下式の関係があることを明らかにした。 美味しさ=0.324×爽快感+0.571×喉越し(r=0.84) 【FeとLiの貢献特性】 平成22年度までに水道水の味覚評価に寄与するミネラル成分としてLi,Fe,Cu,Mo,Pbを抽出している。この結果は共分散構造解析や、主成分分析でも裏付けられた。平成23年度は、このうちFeとLiについて、味覚評価を左右する特性を明らかにするため、クロス集計による評価を行った。その結果、一般に水道水に含まれるFe濃度域では、Feが高濃度なほど味の評価が下がり、Feは美味しさにとってマイナスに影響することが示唆された。一方、Liについては、高濃度のLiを含む水道水に高評価を示す被験者の割合が多いことが示された。
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