研究概要 |
本研究は、肥満高齢者に実施した短期間の栄養調節と運動との併用による健康増進効果を、遺伝的背景を異にする高齢モデル動物を用いて実証し、高齢者が意欲的かつ継続的に健康増進に取り組むための動機付けとしての『健康増進短期プログラム』の提案をめざしている。 1年目の平成21年度はスタートアップ期間に位置づけ、1、高齢動物の養育と高齢に至るまでの身体パラメータ調査、2、候補栄養素のスクリーニング月齢の妥当性を検討し、下記の成果を得た。 結果1.平成22年3月末の時点で栄養調節試験動物は8月齢に達し、順調に養育している。また、結果2の事由により、当初計画した12月齢より若齢も必要になったため、新たな動物の養育を開始した。さらに、血漿高密度リポタンパク質HDLの構成タンパク質であるアポリポタンパク質A-II(apoA-II)のタンパク質レベルを調整したマウス(mApoa2^cトランスジェニックマウス、信州大学にて開発・維持)を用い、体重測定、空腹時血糖値測定(2-10月齢)、および糖負荷試験(3,6,9,月齢)を行い、各種パラメータ変化を解析した。apoA-II高発現マウス(Tg+/+)は短命で、体重は野生系統(Tg-/-)の約70%、オスは若齢期に空腹時低血糖を示した。これらmApoA2^cトランスジェニックマウス(Tg+/+、Tg+/-、およびTg-/-)を基準系統とし、今後の研究を遂行していく。結果2.1月齢からの継続投与により抗老化作用が明白だった栄養素を同系統の促進老化モデルマウスに7月齢から適用した結果、投与6ヶ月後(13月齢)までに著明な健康増進効果はみられなかった。この結果より、候補栄養素のスクリーニングは当初計画の12月齢に加えて若齢動物も用いることにした。
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