研究概要 |
本研究では,大学生を対象として,食生活・味覚・生活についての意識と行動に関する質問紙調査を実施し,今日の大学生における食生活の現状把握と,心身ともに健全な生活を送ることの規定要因を検討し,以下の結果を得た。(1)食生活では,外食・中食に対する抑制について,食事バランスについては,意識より行動の得点の方が高く,食事作りについては,意識より行動の得点の方が低かった。味覚では,味わい重視については,意識より行動の得点の方が低かった。生活については,意識より行動の得点の方が低かった。(2)調査対象者の属性と,各意識と行動の下位尺度との関係性を分析したところ,朝食・昼食・夕食の内食の日数が多い者ほど,関連のみられた食生活・味覚・生活についての意識や行動の程度が高く,反対に,中食や外食の日数が多い者ほど,関連のみられた食生活・味覚・生活についての意識や行動の程度が低かった。また,家族からの働きかけの程度が高い者ほど,全ての食生活・味覚・生活についての意識や行動の程度が高かった。さらに,料理の味付けや好みでは,家庭における料理の味付けが塩からい者,濃い者ほど,関連のみられた食生活・味覚・生活についての意識や行動の程度が低く,和食や酢の物をよく食べる者ほど,関連のみられた食生活・味覚・生活についての意識や行動の程度が高かった。(3)健全な食行動・生活行動に影響をおよぼす要因について検討した結果,食生活についての意識の向上は,健全な食行動の実行につながること,また家族からの働きかけは,大学生の食生活・味覚・生活についての意識を媒介して,健全な食行動,さらに心身ともに健全な生活の実行へとつながることが確認された。
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