研究概要 |
本研究は,短期大学女子学生を対象に味覚検査(〓味能力テスト)と食生活に関する質問紙調査を実施して,味覚能力の現状の確認,および味覚能力と食生活との関連性について検証した。分析の結果、以下の知見が得られた。 1) 1991年・1996年に比べて,2006年から2008年の〓味能力テストの得点が全味質において有意に低下していた。次に、正解順位と有意な相関のある得点を濃度差識別能「高群」、正解順位と有意な相関のない得点を濃度差識別能「低群」として2群に分け、1991・1996年と2006年から2008年における2群の人数割合を各味質別に比較した。その結果、旨味、酸味、塩から味において有意差がみられ、2006年から2008年の濃度差識別能「高群」の割合が低かった。 2) 〓味能力テスト結果と質問紙調査結果との関連を検証したところ,濃度差識別能「低群」は,旨味では「食事作りに対する行動」,甘味は「味わい重視の行動」,塩から味は「外食・中食に対する抑制行動」の下位尺度得点が「高群」より有意に低かった。 以上のことから,食の乱れが懸念されている現代において,次代を担う青年期の女子学生に対して,自身の味覚能力と食生活状況を認識させ,食生活に対する関心を高めさせること、さらに調理学習を通して調理技術を向上させ、味見をする機会を増やすなど、適切な食育を実施する必要性が示唆された。今後は、効果的な食育の方法を検討すること、さらに継続的に味覚検査を実施し、得点の変化を確認することが課題である。
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