食品成分によるアルコール性肝疾患の予防効果とそのメカニズムについての総括的な研究を行い、近年、罹患者数が急増しているアルコール性肝疾患に着目して、日常の食生活を改善することによって健康長寿を目指すことができるように提言するための基礎研究を行うことを目的として、以下の2点について解析した。 1) 肝線維化さらには肝硬変の直接的な原因となる分離肝星細胞を用いたin vitroアルコール性肝硬変モデルを用いて、アルコール性肝硬変の予防効果を有する食品成分を探索したところ、Ecklonia cava抽出物、玉造黒門越瓜抽出物、セサミノール、緑茶抽出物がエタノールによって誘導された肝星細胞の活性化の抑制効果を有することを明らかにした。これらの食品成分は、細胞内グルタチオン量を増加させることによって、エタノールによって亢進した活性酸素種量産生量を減少させ、肝星細胞のコラーゲン合成能を抑制する作用を有することを見出した。Ecklonia cava抽出物、緑茶抽出物の効果については、日本栄養・食糧学会、日本病態栄養学会、ヨーロッパ肝臓学会において発表した。 2)分離肝細胞によるin vitroアルコール性肝炎モデルを用いて、アルコール性肝炎の予防効果を有する食品成分を探索したところ、Ecklonia cava抽出物および玉造黒門越瓜抽出物が有効であることを明らかにした。これらの食品成分は、エタノールによって誘導された酸化ストレスを軽減させることによって、肝細胞障害を抑制する作用を有することを見出した。これらの効果については、日本栄養・食糧学会、茶学術研究会シンポジウム(お茶の健康と科学)において発表した。
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