研究課題
本研究は、(1)動脈硬化形成の原因とされるヒトLDL酸化に対するヨモギ熱水抽出液の抗酸化能の有無を観察すること、ならびに、(2)肝臓におけるコレステロールの合成・分泌モデルとしてHepG2細胞培養系を用い、LDL合成・分泌に対するヨモギ熱水抽出液の影響を観察すること、さらに、(3)小腸におけるコレステロールの吸収モデルとしてCaCo-2細胞培養系を用い、カイロミクロンの合成・分泌に対するヨモギ熱水抽出液の影響を観察することにより、ヨモギ成分の動脈硬化抑制能の可能性の有無を、in vitroで、ヒト試料を用いて明らかにすることを目的としている。平成21年度は、主として(1)及び(2)の課題について検討し、その成果の概要については前年度に報告した。平成22年度は、主として課題(3)について検討した。ヒト小腸上皮細胞モデル実験系CaCo-2細胞培養系を用い、コレステロール吸収にかかわるカイロミクロン合成・分泌に対してヨモギ抽出液がどのような影響を及ぼすか、カイロミクロン構成タンパク質ApoB48量をウェスタンブロッティングにより電気泳動的にモニターした。その結果、ヨモギ熱水抽出成分によりCaCo-2細胞におけるApoB48の分泌抑制が視察され、ヨモギ抽出成分によるコレステロール吸収阻害の可能性が示唆された。課題(1)、(2)および(3)の結果から、ヒトLDL酸化抑制効果やヒト細胞培養系におけるコレステロール吸収や合成をヨモギ成分が抑制することが明らかになり、in vitroではあるが、動脈硬化予防食材としてのヨモギの可能性を示唆する成果が得られた。
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